[NiX主催- IT日本語教育シンポジウム]日本語教育を通じたグローバルDX人材育成シンポジウム 2025

株式会社NiX Educationは国際交流基金ベトナム日本文化交流センターの助成を受け、2月6日に「日本語教育を通じたグローバルデジタルトランスフォーメーション(DX)人材育成シンポジウム 2025」を開催しました。

■近年、日本企業ではデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)が進められていますが、それを担う人材が不足しています。特にIT分野では、日本語を理解し、日本の企業文化に適応できる外国人エンジニアが求められています。こうした背景のもと、NiX Educationは、大学と企業をつなぐ日本語教育プログラムを開発し、その取り組みを紹介するため、2月6日にハノイで「日本語教育を通じたグローバルDX人材育成」をテーマにしたシンポジウムを開催しました。
本シンポジウムでは、日本語教育とIT教育の融合、企業が求める日本語スキル、学習者の課題、そして大学と企業の連携の重要性について議論が交わされました。登壇者たちはそれぞれの立場から、日本語教育がDX人材育成にどのように貢献できるかについて提言しました。

■DX時代に求められる日本語教育の新たな役割
DXが進む現代において、日本企業が求める人材は、単に技術力を持つだけでなく、言語スキルやビジネススキルも必要とされています。しかし、日本語教育がどのようにこの人材育成に関わるのか、まだ十分に議論されていません。
NiX EducationのNguyen Thi Mai Phuong氏は、同社が推進する産学連携型日本語教育プログラムを紹介しました。このプログラムでは、日本語を単なる語学学習としてではなく、IT技術やビジネススキルを学ぶための手段と位置付けています。ベトナムのIT大学と日本企業が協力し、エンジニアが実践的に日本語を学ぶ環境を整えることで、即戦力となる人材を育成することを目指しています。
また、IT企業での日本語教育について発表したVuong Ngo Huong Giang氏は、企業内での学習者のモチベーション維持や、仕事で活用できる日本語を身につける方法について紹介しました。たとえば、実際の業務で使う単語や表現を重点的に学び、職場での会話を通じて実践的に覚えていくという取り組みを紹介しました。
 さらに、平澤栄子氏は、学習者が受け身にならず、積極的に学ぶ環境をつくることの重要性を語りました。奥多摩日本語学校では、地域の課題を解決するプロジェクトを通じて、日本語を実際に使う機会を増やしています。最終的には、学習者が自分の興味ある分野でプロジェクトを進め、チームでオリジナルの成果物を発表するまで成長する仕組みを整えています。「日本語を学ぶこと自体が目的ではなく、日本語を使って何ができるかを考える力を養うことが大切です」と彼女は述べました。
また、Tran Ngoc Son氏は、日本語学習の経験から、実際の業務で役立つ学び方について発表しました。彼は、学習の最大の課題は「実際に使う機会の少なさ」であると指摘し、学習者自身が積極的に日本語を話す環境を作ることが重要であると語りました。仕事で日本語を使う機会を増やし、実際の業務を通じて学習することで、日本語スキルだけでなく、業務理解も深めることができると提言しました。

■日本語教育の新たなステージへ
本シンポジウムを通じ、日本語教育が単なる語学習得にとどまらず、DX人材育成の重要な要素となりうることが明らかになりました。DX時代において、日本語は単なるコミュニケーションツールではなく、技術やビジネススキルと結びつくことで、より実践的な力を発揮します。そのためには、教育機関だけでなく、企業や政府の積極的な関与が不可欠です。

■産学連携の成功事例:NiXの取り組み
NiX Educationは、IT日本語教育を実践する上で、日本企業・大学・政府との連携を強化し、より実践的な教育を提供しています。その取り組みの一つが、ベトナムのIT系大学との連携による日本語カリキュラムの正規授業化となります。技術教育と日本語教育を融合させ、プロジェクト型学習(PBL)やタスクベース学習(TBLT)、内容言語統合型学習(CLIL)を取り入れたプログラムを実践しています。
また、日本企業との協力により、学生が実際のプロジェクトに参加し、日本語を実務で活用する機会を増やしています。これにより、企業が求めるスキルを備えた即戦力人材の育成が可能となります。NiX Educationは、今後も産学連携を強化し、実践的な日本語教育モデルの発展に取り組んでいきます。企業・教育機関・政府が協力することで、持続可能な人材育成の仕組みを確立し、日本語を活用したグローバルDX人材の育成を推進することが可能となることを願っています。

今回のシンポジウムを契機に、日本語教育の新たな可能性を探る議論がさらに深まり、日本のDX推進に貢献するグローバル人材が増えていくことが期待されます。

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